北の大地から地球環境に向き合う
環境大善株式会社
北の大地・北海道。皆さんがイメージするままの大自然が北海道北見市には広がっています。そんな北見では酪農が盛んに営われています。その酪農家さんたちが抱える悩みから生まれた〈きえ~る〉。今回は、製品を通して、地元酪農家さんの問題、ひいては環境問題解決に挑む環境大善株式会社より、山田さんと板橋さん、中川さんにお話を聞きました。
-創業時はどのようなものを製造することから始めましたか?
【山田】当初の始まりとしては、消臭液を作ることからはじまっております。当時は「善玉活性水」という呼び名で商品を売っていたわけではありませんが、液自体は変わらず同じ液で製造・販売しております。
-その後どのように発展していきましたか? 【山田】他メーカーにはない消臭剤との違いがあって発展していきました。他メーカーさんのは、結構香りを強くしていて臭いを消すイメージがある中、うちは「匂いをもとから消す」というのを売りにしていました。そういった魅力があって発展していったのかなと思います。
-北見市は農場が盛んということですが、そういった環境で工場っていうのはやはり珍しいのではないでしょうか?
【板橋】正直言って、工場といっても僕らが扱っている商品は、ちょっと他にはない特殊な工場になります。特にうちは糞尿を酪農家さんから仕入れて、それを消臭剤に加工するような工場ですので、北見では唯一の、日本でも唯一の工場だと思います。
―現在工場を継続させていくために挑戦していることがございましたら教えてください。
【山田】今共同研究先として北見工業大学とか、他機関とも連携しながら研究開発を進めています。今までは消臭の作用ですとか、そういうところについて明確にわかっていない点が多いまま販売とかしていたっていう経緯があったんですけども、最近になってはその辺りが作用機序としてどういったものが消臭に関与しているかだとかを研究して、よりエビデンスを集めながら説得力のある営業をする点については目指しています。
工場で貯水される”善玉活性水”
-きえーるの製品について、どのような工程でつくられていますか? 【山田】公にはあまり、特殊な技術ということもありまして言えないんですけども、流れとしては酪農からもらった堆肥だとかそういった液体を培養して、製品開発しております。酪農家あってのうちの製品といっても過言ではありません。
-そういったものづくりをされていく中で、難しいこだわりのポイントや大変なことを教えてください。
【山田】天然のものを使っているのでやっぱり商品が常に安定して、ブレのないものを作っていくというのが大変かなと思いますし、そこはこだわりを持って作っていかなければならないなと思っています。社員全員がものに対して、何かしらの違和感とかそういうのがあった場合はすぐそれに対応できる、そういう意味で新しいものと付き合っていけるようにみんな努力しています。
―反対に喜びを感じる場面は?
【中川】会社の商品が継続してお客様に使用していただいたときに効果があったとか、いいねと感謝されるときがものづくりをしていて喜びを感じるます。
―SDGsについて、御社がされているアップサイクル型循環システムについて簡単に教えてください
【山田】主にまずは酪農家から堆肥を買い取りまして、そのあと弊社で培養します。そこに付加価値をつけて消費者に販売して、最終的には消費者が使うことによって農地還元だったり地球の環境に還元、さらにそれがぐるぐる回るという点ですね。やっぱりアップサイクルなので捨てるはずだったものに価値をつけて、それを販売してまた還元というサイクルが重要になってくると思います。
糞尿は堆肥として活用するにも限界があり、産業廃棄物として処理するのにも課題を抱えています。
-北海道は自然が豊かなイメージでしたが、その反面堆肥などの公害問題もあるのですか?
【山田】牛の糞尿は匂いもありますし、有機物だとかが堆肥や尿に含まれています。それを川などに放流している場所も恐らく今でもあるので、その点では川の汚れなどにつながる公害のもとといわれていますね。
【板橋】牛の糞尿って1日に1頭60キロくらい出るんですね。牛の体重って大体600キロ以上あって、乳牛を絞るために水を大量に飲ますんです。その分が尿や牛乳になったりとかするんですけど、1日に60キロの糞尿がたまるとそれも保管場所を確保して、できるだけ匂いにならないようにします。しかし、それが非常に大変で、それを全部(堆肥にするために)畑に還元するのはなかなかできないので、今後僕たちも買い取れるところがあるとご協力させていただいて酪農家さんの負担を少なくしてあげたいっていうのはありますね。
【山田】雨が多いですから、堆肥を置いた場所から雨で水から堆肥の成分が流れて飲料水に入り込んで北見でも飲料水が使えなくなったとか結構あったので、そういうのを聞くとやっぱり堆肥は保管状態とか管理状態によっては生活の中で悪さをすることも一部にあります。当社としてはそれでも役に立てるような状況でこれからも提案していけたらいいのかなと思います。