【特集】
器を選ぶ、ひと手間のこと
「洋服のスタイリングと同じように、料理と器の合わせ方も考えるといい」と料理家の谷尻直子さんはそう話します。シチュエーションや四季の巡りに合わせて洋服を着替えるように、料理に合わせて器を変えてみる。そんな些細なひと手間が食卓を、暮らしを豊かにしてくれるかもしれません。今回の特集では料理家の谷尻直子さんを迎え、器に合う料理と、その合わせ方を教えてもらいました。ノスタルジックで、どこか心がほっと温かくなるような料理を盛り付けて、谷尻さんのコメントと共に紹介していきます。
aito製作所/オーバルプレート
ポップなカラーリングと、縁にかたどられたリブが印象的な〈aito製作所〉の「オーバルプレート」。シンプルでベーシックなデザインが特徴的な美濃焼のシリーズで、その使い勝手の良さから幅広い年代の方から愛されている器です。マットな質感は生活に馴染みやすく、デイリーユースに日々使うことの出来る秀逸な商品になっています。
▼谷尻さんコメント
「今回、おにぎりや漬物、そしてパンやサラダを盛り付けたように、和食にも洋食にも合わせやすい印象を抱きました。想像していたより大きめのサイズ感でしたが、外側にあるリブが効いていて、多少盛り付ける量が少なくてもうまく盛り付けることが出来ると思います。家族で使うものはもちろん、一人暮らしの方にもいいかも。個人的にはホワイトとグレイの色味が好みです。」
蘇隆窯/豆皿
京都府・清水焼と福岡県・小石原焼の技法の掛け合わせて器を制作している〈蘇隆窯(そりゅうがま)〉。スーッと透き通るような、深みのある青色がブランドを象徴する色味。京都に工場を構え夫婦で器づくりを続けている、作り手の想いの入ったブランドです。今回は白と青の「豆皿」のご紹介になります。
▼谷尻さんコメント
「1枚持っていれば重宝しそうだなと思いました。普通にお醤油さしや梅干しを盛り付けるのにも使うと思いますが、今回はお茶請けを盛り付ける器として提案してみました。コーヒーとチョコレートとか、緑茶と和菓子とか、紅茶と干し柿などもステキかと思います。あとはお茶漬けの具を少しずつ盛り付けて「みんなでセルフ形式のお茶漬け」と言った使い方も良いかも。」
輪島キリモト/コーヒーカップ
200年以上の歴史があり伝統的な技法を残しつつ、現代の生活に寄り添う商品を展開している〈輪島キリモト〉。石川県輪島市に拠点を構え、世界中に漆器の魅力を伝えています。使い込むことで艶が増していく漆器の特徴も相まって、まさに一生付き合っていきたい「コーヒーカップ」ではないでしょうか。クラシカルに思われがちな漆器は実は保温性・保冷性も高く、機能性も兼ね備えているの優れものなのです。
▼谷尻さんコメント
「今回ご紹介するブランドの中で一番印象的だったのが、この「コーヒーカップ」でした。普段から器はシェイプを意識して選んでいるので、ありそうでないこの形に惹かれました。飲み物に限定されるカップと、食べ物にも使うことの出来るカップと両方ありますが、これはまさに後者だと思います。赤にはコーヒー、黒にはおかゆを添えています。この「コーヒーカップ」は比較的背が低めなので、ドリンク以外にフードも良い感じに盛り付けられるはずです。」
ceramic mimic fabric/小皿
布のようなシワの入ったデザインが特徴的な〈ceramic mimic fabric〉の器。リネンの布を使って生地をたたき締める事でこのような表情に仕上がります。薄くて軽いこの「小皿」は家庭で使うのにもぴったりで、シンプルな色味とデザインから汎用性の高い器になっています。木箱に入った「3枚セット」での販売もあり、ギフトとしても喜ばれる逸品です。
▼谷尻さんコメント
「これからの季節にちょうどいい「小皿」だと思います。お鍋の時に薬味を並べて使っているシーンが想像できますね。てびねりの質感と、金色の縁取りにおもてなし感があって来客用にもばっちりだと思います。今回は牡蠣やきんぴらごぼう、梅こんにゃくを乗せました。ゆで卵のように簡単なものでも金色の縁が効いてテーブルにアクセントをつけてくれそう。」
あとがき・レシピ紹介
〈cearamic mimic fabric〉の「小皿」に乗せた『梅こんにゃく』のレシピのご紹介。梅干しの爽やかな酸味とこんにゃくの触感が癖になる一品。谷尻さん曰くお弁当に詰めたり、深夜のおかずとしておすすめだそう。ぜひ、レシピを参考にして作ってみてはいかがでしょう。
材料
・こんにゃく 1パック
・梅干し 2個分 (梅干しは白干と呼ばれる塩と梅だけのものを使っています。種をとって刻んでおく)
・砂糖 大さじ1.5~2(梅干しが白干なら多い方で、はちみつ梅干しなどの甘めの梅干しの場合は少ない方で)
・醤油 大さじ1.5(梅干しが塩辛い場合は少なくして)
・みりん 大さじ1
レシピ手順
①こんにゃくに隠し包丁を入れる。1mm程度の切れ目を格子状にし、大体12等分に角切りにする。熱湯で3〜5分程度茹でこぼす。
②小鍋に油を敷いて火をつけ、こんにゃくを入れて炒める。ちりちりと音がするのを楽しみながら、3〜5分炒める。
③表面が少し乾いたような感じになったら砂糖を入れて弱火にし、砂糖が溶けて全体に絡まるまで待つ。砂糖を入れた時点で鍋が焦げ付きそうなら間髪入れずにみりんを加える。
④醤油を加えて3~5分煮詰める。
⑤たたいた梅干しを加えて全体に絡めて出来上がり。
コツとポイント
①関東風すき焼きを作るときの様に砂糖だけを先に食材に絡めるのがポイント!
②茹でこぼしの意味は、臭みを消すことと、余分な水分を抜くことです。味染みが良くなります。
③こんにゃくの切り込みは、面倒ならしなくても大丈夫です。
今回器と料理の合わせ方を教えてくれた料理家の谷尻直子さん。SNSを通じて日々の暮らしのヒントになる物事を発信しています。憧れの存在でありながら、親しみを感じられる暮らしぶりや私生活を垣間見ることが出来るかもしれません。ぜひインスタグラム、HPをチェックしていただくことをおススメします。