【CRAHUGセッションレポート】
作り手×使い手で交流しました!
先日都内で開催した、初の作り手×使い手の交流イベント「CRAHUGセッション」。
3つのブランドと、3名の消費者の方々、そしてCRAHUGクリエイティブディレクターの梶原さんをお招きして、商品の制作背景やサステナブルな取り組みについて実際に商品に触れながら懇談しました。 今回は当日の様子を少しだけお伝えします。
私たちこんなものづくりしています
今回、岐阜県から〈kiso natural dye〉、兵庫県から〈POLS〉、三重県から〈KWD〉の3ブランドが登場しました。 みなさんがどんなものづくりをされているのか?まずは座学でスタート。
参加者同士の距離が近く、和気あいあいとスタート
kiso natural dye
― 草木染のリラックスウェアを展開する「kiso natural dye」が誕生した背景は?
【安藤】長い間、染めの加工業をしてきて加工でない仕事がしたいと感じていた時に梶原さんと出会いました。
【梶原】実際に工場を見に行って、加工賃だけでないビジネスをしていきましょうというお話。そして、当時の担当者に何が得意ですか?と聞いた時に「草木染なら少しできます」と言われたのをきっかけに、国内だと堅牢度の問題でなかなか生地として販売していくのは難しいかもしれないけど、製品なら消費者に伝えていくことはできるのではないかと考えました。
工場としての葛藤を語る、〈kiso natural dye〉の安藤さん
【梶原】実は木曽川染絨さんのある岐阜県は複合素材の加工が得意な土地でもあったので、複合繊維をつかった草木染の製品を提供していくブランドをやってみましょうかとお話しました。
【安藤】それまでは生地をお返ししていただけでお客様に実際にどんな商品で届けられているのか全く見えなかったんですね。草木染で染めた商品を直接お客様に届けることが社員にとっても喜びに繋がるのではないかと始めました。ただ到底無謀なことを始めたなという感じでしたけど…
【梶原】普段機械回していた人たちが急に服つくりを始めた!という感じがありましたね(笑) ブランドネームには、木曽川の井戸水を使って染めていることから“木曽”という言葉、そして体や心の“基礎”になるという点からも「kiso」にしました。
POLS
― 播州産地を通してジャカード織を伝える「POLS」。どういったブランドですか?
【丸山】兵庫県西脇市は山と川に囲まれた土地で、水が豊富なので糸を染める文化が江戸時代中期から盛んにあったそうです。播州織って聞くと着物をイメージされる方もいますが、スーツのシャツ地をたくさん作ってきた産地です。 丁度海外生産が台頭してきた頃に、梶原さんと出会い、ジャカード織をメインに、差別化を図ろうということで色々な製品を作り始めました。
【梶原】当時は泊まり込みで産地に出向いて、50以上の工場さんとお話をしていました。上田さんという、現在のPOLSのジャカードの核の部分を作っている方にイギリスで学んだジャカード織を2年に渡って指導していきましたね。
【丸山】産地としてやり方を変えていかないといけないという時に、テキスタイルの楽しみを発信していこうと、核となるジャカード織を使った一般消費者向けの商品をを作り始めました。これが〈POLS〉の誕生です。
【梶原】テキスタイルというあまり前に出てこない仕事をしていたので、みんなに楽しんでもらいたい、テキスタイルの楽しさを伝えていきたいという気持ちで「enjoy textile」というメッセージを込めました。 実は「POLS」っていうのは北極星から由来しています。西脇の産地も今すごい大変で、未来を見て西脇をリードしていくブランドなっていこうということと、見失わずにいこうということから北極星をテーマにしました。
立ち上げ当初を振り返る、〈POLS〉の丸山さんと梶原さん
KWD
― グリーンダウンを使用したダウンウェアを展開する「KWD」の立ち上げのきっかけを教えてください。
【寺崎】「KWD」を立ち上げた会社が日本唯一の“羽毛専業メーカー”になります。羽毛の供給環境も徐々に変わってきていて、普段手にしている布団など羽毛自体は目に見えなくてどういうものか分からない。ならば、実際に羽毛を体感してもらえるプロダクトを作ろうと始まったブランドが「KWD」です。
【梶原】私もずっと注目していた工場が河田フェザーさんでした。日本で唯一ダウンを作る工場で、徹底して洗い込んで、本当にクリーンなダウンを作ることにこだわられていました。それには、三重の豊かな水が必要だということも素敵だなと陰ながら応援していました。
【寺崎】羽毛を洗浄するときに水が大事だとなり、良い水を探し求めて三重の明和に工場を移転しました。羽を洗って、乾燥させるためには乾燥した地域でかつ水がきれいな環境が必要なんです。
【梶原】すごい工場なんですよ。四角い施設の中に羽が回って飛んでいるんです。
梶原さんが大きくジェスチャーする羽が回る四角い施設とは?〈KWD〉の寺崎さんが実際の写真を見せてくれました。
【寺崎】2010年ごろから「羽毛は100年以上もつ資源である」という考えの下、皆さんから羽毛を集めて再利用する『グリーンダウンプロジェクト』を始めました。こちらの機械は、ゴミやちりは下に落ちるので回転させることで分別することができます。また、ダウンとフェザーも分けて、それぞれの分量を調整することでウェアの質感も変えるようにしています。
ご紹介したブランドの背景は一部になります。 ぜひ、詳しい各ブランドのご紹介はYouTubeからご覧ください♪
実際に着て、触ってみて
ブランドについてのお話を聞いた後は実際に製品に触れていただきました。
羽毛の1グラムってどれくらいの量なの?ジャカード織と普通のプリントの生地の違いは?などなど…みなさん様々な疑問を直接作り手の方々に質問していただきました。
化学の授業のようにちょっとした配合で変わる草木染のカラー。「どんな植物を混ぜたらこの色になるんですか?」と原料とウェアを見比べました。
ベビーアルパカとウールでできたストールは羽織ってみると「暖かくて、触り心地が気持ちいい!」
「すごい、一枚の布で柄が変わってる!」とジャカード織の構造に興味深々。
羽織ってみて、軽さにびっくりの〈KWD〉のダウン。 「手を入れても暖かい!」なんと、ダウンのポケット内側には、着る人の気持ちに寄り添ったベロア生地が使われています。
あとがき
終了後、参加いただいたみなさんから工場の方々ともっとお話したかったという声をたくさんいただき、このような会を開催できよかったと感じております。今後もCRAHUGは“作り手×使い手”が交流できる場を作っていきたいと思います。
作り手の方々、使い手の方々、みなさんありがとうございました。