「ものづくり」×「睡眠」を研究し続けています
大東寝具工業株式会社

京都府京都市、ものづくりと睡眠知識の融合を目指して研究開発を精進し続ける老舗寝具メーカー、大東寝具工業株式会社。今回は、そんな大東寝具工業株式会社が惜しみなく研究し続けてきたからこそ生まれた〈tetra〉と〈京和晒綿紗〉について、代表取締役の大東利幸さんと営業部長の黒澤秀行さんにお話を聞いてきました。

画像右が代表取締役の大東さん、左が営業担当の黒澤さん。大東寝具工業のファクトリーブランドについてお話をお伺いしました。

布団を製造して約100年 老舗寝具メーカーがはじめた布団以外のブランド

ー工場について、歴史を教えてください。

【大東】大正や昭和の初期は、町に一軒は綿屋さんがあってお家でお布団を作るという習慣があり、綿をつくって提供する製綿業を私のおじいさんの代が始めたのが始まりです。京都は和装の文化が花開いた土地です。当時寝具は呉服と一緒に販売していたので、着物にまつわるものづくりと一緒に発展しました。より高品質でしっかりした着物づくりをしていた京都ならではの文化と一緒に寝具も販売しておりましたので、同じく高品質なものを、というところが特徴的です。

ーなるほど。長い歴史ですが昔と今で変わったこと、変わらないことはありますか?

【大東】昔は量を作っていた時代で、一時は30名前後の職人がいました。今は7人の作り手ですが、その7人のメンバーがフルに動いて、1点1点違う多品種極小ロットでものづくりをしています。多職能化も進め、チームとして動かなければカバーできないというようになってきました。ただ変わらないことといえばものづくりの丁寧さ、手作りとしてのものづくりということでしょうか。

7人の作り手が多品種極小ロットでものづくりを行う。少数精鋭のチームワークで動いているそう。

ーもともとは寝具を販売していたところ、なぜファクトリーブランドを?

【大東】工場があってものづくりができる環境はありましたので、そういう考えはずっとありました。しかし当時は販売力がなかったんです。なので、はじめは他社の製品を仕入れて卸売りをがんばるところから始まり、ファクトリーブランドを始めるまで20年ほどかかりました。ファクトリーブランドを始めたきっかけはインターネットです。まだ回線もすごく遅い時代に(笑) 試作品を工場でつくって、写真を撮って売ってみたらいいよねと思ったのがファクトリーブランドの始まりです。お客さんの声をきいて製品改良を行い、ブラッシュアップし徐々に製品ができました。

―今では〈tatra〉や〈京和晒綿紗〉はホテルや商業施設でもみかけますよね?

【大東】せっかく作った自社製品も卸売りができないかと考えたんです。2008年に東京で展示会があり、そのタイミングで会社向けの事業を拡げようと、スタートしました。 【黒澤】展示会には慣れていないし、百貨店さんとのお取引もどうしたらいいのかわからないし、最初数年は本当に大変でした。 【大東】おかげ様で、徐々に取り扱ってくれる場所が増え、現地で商品を知ってくれたお客様がネットで調べてくれて工場へつながる、といった相乗効果もありました。今では京都のミシュランの宿泊施設9軒に製品を採用していただいています。

極上の座り心地の〈tetra〉、心地よいガーゼ製品の〈京和晒綿紗〉

研究を重ねてたどり着いた製品。 ちょっとしたこだわりにも時間をかけて。

ー苦労を乗り越え、今の〈tatra〉や〈京和晒綿紗〉ができたんですね。それぞれのこだわりのポイントはどこでしょうか。

【大東】〈tatra〉は、耐久性と座り心地のバランスにとてもこだわっています。座り心地、軽さ、耐久性、何度も研究を重ねたどり着きました。〈京和晒綿紗〉は着心地を大切にしています。丁寧に手で重ね合わせた2重3重のガーゼ生地を使っています。 【黒澤】一般の多重ガーゼ生地は、織り上がり段階で多くの箇所に留めをほどこして1枚の生地として仕上げますが、京和晒綿紗は縫製の段階で個別のガーゼ生地を本当に一枚一枚手で重ねて作っているんです。また、日本でもわずか数台しかない稀少な和晒窯で4日間じっくり和晒を行うのも特徴です。

ー時間がかかっているんですね

【大東】ちょっとしたこだわりを商品に展開していこうとすると海外生産では難しいです。複合的な製造プロセスを繋ぎ合わせて、製品を作る技術が自社工場の強みです。

ー最後に。会社として、個人としての今後の展望を教えてください。

【大東】会社としては今まで100年近く継続できたわけですから、今後も世代継承していかなければなりませんし、次のジェネレーションに譲っていくことも含めて事業の継続が必要になってくるのかなと思います。お客様あってのものづくりですから、使っていただく人のことを考えて作っていくこと、それが大切だと思います。個人としては、未来を楽しく明るく描いてそれを実現させていきたいです。

大東寝具工業株式会社は歴史があるからこそ、常に時代に沿った暮らしを考えています。 お客様あってのものづくり、使っていただく人のことを考えてものづくりをしていく…。 そのような想いを懸けて、老舗寝具メーカーが時間をかけて作った〈tatra〉や〈京和晒綿紗〉。そこには確かな信頼がありました。

  • 大東寝具工業株式会社

    大東寝具工業株式会社

    私たち大東寝具工業は、大正14年(1925年)京都壬生で創業、約90年近く、布団の製造と販売を生業としてきました。時代が移りゆく中で、現在は「睡眠」に特化した環境づくりを進めてきました。私たちは、睡眠の専門家として、お客様に合った寝具や睡眠環境を一緒に考え、枕ひとつから睡眠の環境までお客様の「ねむり」に適した製品をおつくりしたいと考えています。

Text & Photo:
及川 理菜

1才の姪っ子を愛でるのが趣味。CRAHUGのEコマース担当。好きなラジオのコーナーは霜降り明星のANN「ポケットいっぱいの秘密♪」のコーナー

Date: 2023.06.10

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