MADE IN NAGAKUTE を支える人達
株式会社アイディールカンパニー
皆さんは長久手という地域をご存じでしょうか?東京から2時間ほど、愛知県の北西部に位置し、沢山の自然に囲まれたのどかな場所です。そんな長久手から、都会的で機能的なバッグを制作し、発信しているブランドがあります。そのブランドの名前は〈LIVERAL〉。自由な発想と確かな技術、地域に根差したモノづくりを大切にしているブランド〈LIVERAL〉。今回は、そんな〈LIVERAL〉を運営している株式会社アイディールカンパニーの取締役の岩崎雅夫さん、企画営業の大田賢志さん、企画設計の山田雄己さんの3名にお話を聞いてきました。
ファクトリーブランドにしかできないモノづくりをしたい
ー〈LIVERAL〉のブランド名の由来について教えてください。
【大田】〈LIVERAL〉は自由主義を表す単語である「LIBERAL」と、いま現在を表す「LIVE」を掛け合わせた造語がブランド名になっています。アイディールカンパニー(〈LIVERAL〉を運営している会社)の主たる業務として、OEMでの生産が大きな割合を占めます。管楽器のカバーの制作や、車のシートの縫製など、主にBtoBでの取引が多く、この仕事では自分たちのやりたいことを表現するよりも、クライアントの要望に100%応えること、安定したモノづくりを提供する事が求められます。自分達のやりたいことを表現できる場として、自社ブランドの〈LIVERAL〉があり、今を自由にモノづくりしていこうという想いが込められています。
ー今を自由にモノづくりする、大切なことですよね。今回出品される〈LIVERAL〉L/Rシリーズ発足のきっかけについて教えてください。
【大田】一番のきっかけは工場を知ってもらいたいという気持ちからです。以前はレーベルでは、ソファーで使われるような生地を使ったハイエンドな商品を展開していました。高価格帯ということもあり、お客さんが手に取りにくい状況でした。工場をより多くのお客さんに知っていただけるよう、少しでも手に取りやすく、触りやすいものを提案したいという気持ちから、このシリーズが出来ました。
ーブランドのコンセプトはどのようなものでしょうか。
【大田】「KURO DE ASOBE」をテーマに、黒色の高機能生地を用いた商品を展開しています。生地は工業向けの特殊生地、特殊素材が多く、水や汚れに強いタフな生地で商品が出来ています。またほかのブランドとは違う〈LIVERAL〉独自の特徴として、カラーは黒のみで、生地違いの商品を展開しているところかと思います。
ー普通のブランドは、カラーの展開を増やしますよね?どうして生地の展開を増やしたのでしょうか?
【大田】仰る通り、普通のブランドはカラーの展開を増やすと思います。生地が変われば、裁断の工程や、縫製の仕方が変わり、生産の時間にかかる時間が変わります。正直めんどくさいことのほうが多いです(笑)ただせっかくやるなら、ほかにはない面白いことをやりたいという気持ちから生地違いでの商品の展開を始めました。自社の工場がある、ファクトリーブランドならではの柔軟なモノづくりが出来る環境だからこそ、できた事だと思います。
工場の中には多種多様な沢山の生地が並んでいる。
〈LIVERAL〉の企画を担当する大田さん。大田さんが中心となって、モノづくりが進められている。
休憩中の一コマ。 (右):岩崎さん。アイディールカンパニーの取締役社長。 ユーモアのあって、とても気さくな方。(左):山田さん。アイデアを形にするパタンナーの役割を担っている。
自由な発想で、使いたいように使ってほしい
ーモノづくりをやってきて大変だったことはありますか?
【岩崎】モノを安定してつくっていくことに難しさを感じます。毎回ロットも変わってくる中で、作る人によって生じるブレがあり、それを安定させることが非常に難しいです。同じものを作り続けるということは簡単なようで、とても大変なことです。
ーでは反対に、今までモノづくりを続けてきてどのような喜びがありましたか?
【岩崎】最終的にはやっぱりお客さんの笑顔です。いいものを作るとお客さんが喜んでくれる。ブランド事業を始めて、よりリアルにお客さんの反応を体感するようになりました。自分たちのモノづくりが直接お客さんの喜びや幸せにつながっているということを感じる。正直お客さんには助けられていますね。もちろん、いいことばかり言ってくれる人ばかりではないですがそういった反応も今後の課題として受け止めて、改善していかないといけない。もっといいものを安定して作っていかないといけないという気持ちになります。
ー〈LIVERAL〉の商品をどのようなシーンでどのような人に使ってほしいですか?
【大田】ブランドのターゲットも考えたりしましたけど、誰に使ってほしいというよりかは、使いたい人が使いたいように使ってほしいです。バッチをつけたり、バンダナを巻いたり、リメイクして自由に使っていただきたいですね。この製品を通じて、日本の工場のブランドだったんだと少しでも多くの人に知ってほしいです。
ー今後挑戦したいこと、今後の展望について教えてください。
【岩崎】まずは知ってもらうことが大事かなと。一手に広がっても、もちろん対応できないこともあり、一つ一つ階段をのぼっていければと思います。企画も設計も一人しかいないので、目の前のことを、少しずつこつこつと積み上げていければいいなと思います。
ーでは最後に。皆さんにとってモノづくりとはなんですか?
【大田】モノづくりは責任かなと思います。作り手も、売り手も、買い手も、商品が生まれなければ責任は生まれない。企画を考え、商品を作り、世の中に出た瞬間に何かの責任が生まれると思います。作り手としては利益のことや、在庫を抱えてしまうリスクも考えないといけない。買ったお客さんはその商品を捨てるという最後のことまで想定しないといけない。モノづくりには責任がついて回る。この考え方って環境を想う気持ちとか、サステナブルとか、そういった思考につながると思います。だからこそ無駄になってしまうものを作ってはいけないし、お客さんにとっても永く使っていただけるような商品を提案し作っていくことは常々意識しています。
自由に自分たちの好きなモノを作ることが出来るのは、社長のおかげと言う大田さんと山田さん。そして二人にブランドを一任している岩崎さん。自由なモノづくりを続ける〈LIVERAL〉の背景には、一朝一夕には培われない確かで強固な信頼関係がありました。