暗闇を優しく灯す「提灯」。みなさんは「提灯」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。お祭り?浅草の雷門?それとも居酒屋? 日本の盆堤灯として知られる八女提灯は、約200年の伝統を誇る経済産業省指定伝統的工芸品に指定されているそう。そんな八女提灯の伝統を守りながらも、現代の暮らしに寄り添ったインテリアを提案するのがシラキ工芸の職人の皆さん。今回はシラキ工芸の代表 入江さんと職人の大塚さんにお話を聞いてきました。

―創業は何年でしょうか?

【入江】創業は昭和55年1月、平成16年に会社を創立しそこから会社になりました。私は2代目なんですけど1代目とはスタイルが全然違いますね。

―どういったところが違うんですか?

【入江】27年前は家でちょうちんを作っている、職人さんが内職しているような感じでした。しかし職人さんの高齢化が進み、技術の継承ができていないことに気付きました。そこで、新しい若い子たちを自分たちで育てていこうと変えていきました。

入江さんのモットーは「自由に・気ままに・楽しく!」その通り笑顔が素敵な方でした。

―今一番若い人職人さんは何歳くらいなんですか?

【入江】会社で一番若いのは26歳です。未経験の若者を一から育てています。

―女性の職人さんも多くいらっしゃいますよね。

【入江】そうですね。小さい子供がいる職人も多いので、有給など家族を優先できる環境づくりをしています。HPや会社案内や商品づくりも常に新しく進化させています。

―時代に合った体制づくり×伝統工芸ですね。

【入江】はい、伝統芸品の中でちょうちんというのは進化していってるんです。大塚がCADで図面を書いて作っています。小さな型は図面を引かないと作ることができないほど繊細なんです。

CADで形作られる繊細なちょうちんの構造はとても美しいです。

シラキ工芸には女性の職人さんが多くいらっしゃるのも特徴です。

―一から始めるのは大変厳しい道だと思います。大塚さんはなぜちょうちんの道に入ろうと思ったのでしょうか。

【大塚】元々ちょうちんに関する土台などの配達をしていて、知り合いの紹介で会社に入りました。なので、ちょうちんの技術師になろうと思って入ったわけではないんです。当時は工房はまだ立ち上がっていなかったのですが、『社長に絵描く?』と勧められて。父親が絵を描いていた影響で自分も趣味で絵を書いていたので丁度いい、是非!と(笑)最初は簡易的なスペースで少しずつ練習していました。

―なるほど。大変なことがたくさんありそうです…

【大塚】僕は「吹き絵付」と言って染料を霧吹き状に吹きかけて絵を書いているのですが、その型を試行錯誤して一から作るのが本当に大変でした。この絵を書くにはどういった型が必要かと。

大塚さんはちょうちん職人としてCADも1から学んだそう。

大塚さんは多くの型を自身で作り、提灯に絵付けしているそう

【入江】大変なことはたくさんあります。提灯はメーカーさんに卸してしまうので、1日座ってもくもく作業して、絵をかいて…それでもシラキ工芸の名は表に出ないんです。そこで若い子たちの力も借りて、ようやく完成したのがちょうちん堂です。やっと表に出られるようになりました。

―なるほど、若い力があったからこそ新しいファクトリーブランドが立ち上がったんですね。

【入江】もちろん「工芸品」は大事なんですけども、「工芸品を変えていく」のも大事だと思っています。ちょうちんと職人を育てながらやっていく、それがちょうちん堂です。

ちょうちんの和紙は一枚一枚手作業で貼り付けられています。これも職人技。

―モノづくりをしていて喜びを感じる瞬間はどんな時でしょうか?

【大塚】それぞれのスタッフが新しい柄を考案して、サンプルを作るんですが、それが採用されたときは嬉しいですね。あとは商品を店頭に置かせていただいたときに、実際にお客さまの声を聴いて、”かわいいね””きれいね”と言われて買われたとき、本当に作ってよかったと感じます。

―最後に、今後の展望を教えてください。

【大塚】シラキ工芸、ちょうちん堂で作ったオリジナルの商品が世の中に出回って、広がってどんどん世界にも広まって欲しいです。伝統を途絶えさせないように。今の古き良き伝統技術を生かしていきたいと思います。

Text & Photo:
及川 理菜

1才の姪っ子を愛でるのが趣味。CRAHUGのEコマース担当。好きなラジオのコーナーは霜降り明星のANN「ポケットいっぱいの秘密♪」のコーナー

Date: 2021.12.24

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